中古住宅が住宅市場の中心となった2026年、現場ではこれまで見過ごされがちだった問題が、はっきりと表に出始めていま
す。それは管理と現場の対立でも、DXそのものを否定する話でもありません。現場を十分に知らないまま管理が進み、
現場の声が判断や意思決定に反映されない構造が、中古住宅という不確実性の高い市場で混乱を生み始めているという
現実です。
本記事では、実際の現場で起きている事象をもとに、なぜ管理者のDX化と現場職人との摩擦が深刻化しているのか、そし
て2026年以降の中古住宅市場で本当に必要とされる管理とDXのあり方について整理していきます。
2026年現在、日本の住宅市場は大きく様変わりしています。
新築住宅の着工数は減少し、中古住宅やリフォーム、リノベーションが市場の中心となりました。
しかし、市場構造が変わったにもかかわらず、
管理の考え方や現場運営の仕組みは、新築中心だった時代のまま というケースが少なくありません。
中古住宅は、一棟一棟がまったく異なる履歴を持っています。
経年劣化、増改築、部分補修、施工精度の差。
それらすべてを抱えた状態で工事が行われるのが、今の現場です。
この前提を理解しないまま管理を行うと、
必ずどこかで「現場との摩擦」が生まれます。
管理側では、DX化が急速に進んでいます。
・工程管理のデジタル化
・図面・資料のクラウド共有
・標準化されたチェックリスト
・数値と進捗での管理
これら自体は、本来とても有効な手段です。
問題は、DXが「管理しやすさ」だけを優先して導入されている点 にあります。
中古住宅の現場では、
数値化しにくい要素こそが工事の成否を左右します。
・柱や梁の歪み
・床や天井の不陸
・直角が出ていない壁
・図面と現況のズレ
DXで管理される情報と、
現場で職人が直面している現実の間に、
大きなギャップが生まれ始めています。
図面上では、壁は直角、床は水平です。
管理資料の上でも、すべては「基準値通り」に見えます。
しかし、中古住宅の現場ではそうはいきません。
経年劣化した建物は、ほぼ例外なく歪んでいます。
それにもかかわらず、
管理側が「図面通り」「基準通り」「数値通り」を求め続けると、
現場では次のようなことが起きます。
・納まらない建具
・無理な調整
・仕上がり品質の低下
・責任の押し付け合い
最終的に帳尻を合わせているのは、
DXでも管理資料でもありません。
現場職人の経験と判断です。
現場職人が問題点に気づいても、
それが管理者や経営層まで届かないケースは少なくありません。
理由は単純です。
・問題を報告すると「段取りが悪い」と見られる
・数値化できない説明は軽視される
・工程を止める判断が評価されにくい
結果として、現場では
「言っても無駄だから黙って直す」
という文化が根付いてしまいます。
これは現場の怠慢ではなく、組織構造の問題です。
誤解してはいけないのは、
DXそのものが悪いわけではないという点です。
問題なのは、
DXが 「現場を管理するための道具」 として使われていることです。
本来DXは、
・現場の状況を上に伝える
・判断材料を共有する
・問題を早期に顕在化させる
ために使われるべきものです。
現場を黙らせるDXは、
効率化ではなく混乱を生みます。
これからの中古住宅市場では、
管理者に求められる役割が変わります。
・現場を知ること
・判断できない場合は現場の意見を尊重すること
・現場の発言が評価される仕組みを作ること
管理者がすべてを判断する必要はありません。
正しい判断が上に届く構造を作ること が重要です。
2026年の中古住宅市場で起きている混乱は、
誰か一人の無知や能力不足が原因ではありません。
・現場を知らない管理
・現場の声が届かない構造
・直角を前提にしたDX
これらが重なった結果です。
中古住宅が主流となった今、
DXは現場を置き換えるものではなく、現場を支えるものでなければならない。
それを忘れた管理とDXは、
今後さらに現場との摩擦を深刻化させていくでしょう。