左官が教える壁の造り方・大工が教える机の作り方

2025年12月10日 10:31

──初心者でも長持ちさせる“理由つきDIYガイド



DIY 壁 机 作り方|割れない方法|透湿シート|ダボ接合



DIY動画を見るだけで「作業の流れ」は分かる時代になりました。

しかし──その動画には “なぜその方法なのか” が語られません。



そのため、初めての方ほど次のような壁にぶつかります。


  ・きれいに壁を塗ったのに数ヶ月で割れる

  ・集成材で机を作ったら天板が割れた

  ・なぜ透湿シートが必要なのか分からない

  ・ダボ接合という言葉は聞くが理由が分からない



DIYで失敗が起こる原因は「やり方が間違っている」のではなく、


“材料の特性” と “順番の意味” を知らないまま作業しているからです。



この記事では、

左官(壁)+ 大工(机) の両方を経験した職人として、

初心者でも理解できるように 理由つきで丁寧に解説 します。

【第1章】左官が教える “DIY壁の作り方”  ──割れない・剥がれない・湿気に強い壁の基本



◆ 1. まず知るべき「絶対にやってはいけない壁造り」



◎(ダメ例①)構造用合板に直接塗り壁をする


→ ほぼ100% ひび割れ ます。


理由:

塗材は乾燥すると縮み、

合板は湿度で膨張・収縮するため“動き方が違う”からです。



◎(ダメ例②)合板に不燃ボードを密着貼りする


→ 内部結露・カビ・合板腐れ・剥離の原因。


なぜ?

木材は絶対に湿気を吸い、必ず吐きます。

密着させると湿気が逃げられず、

壁の中が常に湿った“袋状態”になるためです。



◎(ダメ例③)透湿シートを省略する


→ 長期で見れば 家を壊す最悪の施工。


透湿シートは DIY初心者が最も軽く見てしまいますが、

建築では “湿気の逃げ道” として極めて重要です。





◆ 2. 正しい壁の構成はこれ(DIYでも絶対に守るべき基本)




▼ 【DIY壁の正しい順番(内壁)】


構造用合板

  ・透湿シート(必須)※湿気を逃がす命綱

  ・不燃ボード(石膏ボード)

  ・塗り壁 or 壁紙


■ 透湿シートはなぜ必要?

理由は単純です。

  ・室内外の温度差で必ず“結露”が生まれる

  ・合板・断熱材は湿気を吸う

  ・湿気を逃がせる層がないと腐る

  ・釘・ビスも錆びる

  ・壁全体の寿命が縮む



つまり透湿シートは 「壁を長持ちさせる最低条件」 なのです。




◆ 3. DIYで塗り壁をするなら「一発勝負」で仕上げる




ジョリパットは速乾性があり、返し鏝が効きません。

初心者がプロのように平滑を狙うと、逆にムラが目立ちます。



▼ 正解のアプローチ

  ・鏝跡(こてあと)を“デザイン”として活かす。

  ・一気に伸ばす

  ・途中で止めない

  ・ムラを質感として楽しむ


DIYの塗り壁は「均一」ではなく「雰囲気」が勝負です。




◆ 4. アレンジしたい人は「上:塗り壁 / 下:杉板」が最適




壁を上下で分けると施工難易度が一気に下がります。


メリット:


  ・作業が分割できる

  ・下部は耐久性が高い杉板で保護

  ・上部は塗り壁で表情を出せる

  ・和モダン/北欧どちらにも合う



DIY初心者に最もおすすめできるスタイルです。




【第2章】大工が教える “DIY机の作り方”



──割れない机は“構造”と“力の逃げ道”で決まる

◆ 1. 集成材は厚くても、骨組みが強くても割れます



初心者が一番誤解するポイントです。


▼ なぜ割れるのか?


集成材は“板を接着剤で貼り合わせた素材”のため、

横からビスを打つと 接着面に力が集中して裂ける のです。



厚いほど安心ではありません。

厚いほど 応力が大きくなり、割れが深くなる のです。




◆ 2. ビスだけで机を固定してはいけない




机には次の“4つの力”が常にかかります。


  ・上からの荷重

  ・左右の揺れ

  ・前後の揺れ

  ・天板の反り


ビスは “点” で力を受けるため、

必ずどこかが負けます。



その結果が「割れる・歪む・グラつく」。




◆ 3. 正しい方法は「ダボ接合+幕板」




◎ ダボ接合


  木材を“面”で支えるため、力が分散され割れません。

  初心者でもダボ治具を使えばまっすぐ入ります。



◎ 幕板(まくいた)


  天板の動きを抑え、脚との一体感をつくる重要パーツ。


幕板なしのDIY机は

どれだけ頑丈に見えても、必ず歪みます。




◆ 4. 仕上げは「粗めヤスリ+ウレタン」が初心者に最適




プロのようにツルツルにするのは難しいため、

あえて粗めで木肌の凹凸を残す

凹みにレジンを少し入れると光沢が出る

最後はウレタンニスで保護

この方法だと

DIYでも表情豊かで高級感のある仕上がり になります。




【第3章】DIY初心者が必ず押さえるべきポイントまとめ



──“やり方”ではなく“理由”を知るとDIYは上達する


● 木材は必ず動く

  → 湿気で伸び縮みする


● 材料は正しい順番で組む必要がある

  → 壁は「合板 → 透湿シート → ボード → 仕上げ」


● 力は“点”ではなく“面”で受ける

  → 机は「ビス固定ではなくダボ接合」


● DIYは技術より“押さえどころ”が大事

  → 理屈を知れば、どんな施工にも応用できる



DIYで最も大切なのは、

見た目より“構造と材料の理解” です。



これを知っているだけで、

・壁は割れない

・机は歪まない

・材料は長持ちする

・仕上がりが格段に上がる



DIYはもっと楽しく、もっと美しくなります。




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