DIY 壁 机 作り方|割れない方法|透湿シート|ダボ接合
DIY動画を見るだけで「作業の流れ」は分かる時代になりました。
しかし──その動画には “なぜその方法なのか” が語られません。
そのため、初めての方ほど次のような壁にぶつかります。
・きれいに壁を塗ったのに数ヶ月で割れる
・集成材で机を作ったら天板が割れた
・なぜ透湿シートが必要なのか分からない
・ダボ接合という言葉は聞くが理由が分からない
DIYで失敗が起こる原因は「やり方が間違っている」のではなく、
“材料の特性” と “順番の意味” を知らないまま作業しているからです。
この記事では、
左官(壁)+ 大工(机) の両方を経験した職人として、
初心者でも理解できるように 理由つきで丁寧に解説 します。
◆ 1. まず知るべき「絶対にやってはいけない壁造り」
◎(ダメ例①)構造用合板に直接塗り壁をする
→ ほぼ100% ひび割れ ます。
理由:
塗材は乾燥すると縮み、
合板は湿度で膨張・収縮するため“動き方が違う”からです。
◎(ダメ例②)合板に不燃ボードを密着貼りする
→ 内部結露・カビ・合板腐れ・剥離の原因。
なぜ?
木材は絶対に湿気を吸い、必ず吐きます。
密着させると湿気が逃げられず、
壁の中が常に湿った“袋状態”になるためです。
◎(ダメ例③)透湿シートを省略する
→ 長期で見れば 家を壊す最悪の施工。
透湿シートは DIY初心者が最も軽く見てしまいますが、
建築では “湿気の逃げ道” として極めて重要です。
▼ 【DIY壁の正しい順番(内壁)】
構造用合板
・透湿シート(必須)※湿気を逃がす命綱
・不燃ボード(石膏ボード)
・塗り壁 or 壁紙
■ 透湿シートはなぜ必要?
理由は単純です。
・室内外の温度差で必ず“結露”が生まれる
・合板・断熱材は湿気を吸う
・湿気を逃がせる層がないと腐る
・釘・ビスも錆びる
・壁全体の寿命が縮む
つまり透湿シートは 「壁を長持ちさせる最低条件」 なのです。
ジョリパットは速乾性があり、返し鏝が効きません。
初心者がプロのように平滑を狙うと、逆にムラが目立ちます。
▼ 正解のアプローチ
・鏝跡(こてあと)を“デザイン”として活かす。
・一気に伸ばす
・途中で止めない
・ムラを質感として楽しむ
DIYの塗り壁は「均一」ではなく「雰囲気」が勝負です。
壁を上下で分けると施工難易度が一気に下がります。
メリット:
・作業が分割できる
・下部は耐久性が高い杉板で保護
・上部は塗り壁で表情を出せる
・和モダン/北欧どちらにも合う
DIY初心者に最もおすすめできるスタイルです。
──割れない机は“構造”と“力の逃げ道”で決まる
初心者が一番誤解するポイントです。
▼ なぜ割れるのか?
集成材は“板を接着剤で貼り合わせた素材”のため、
横からビスを打つと 接着面に力が集中して裂ける のです。
厚いほど安心ではありません。
厚いほど 応力が大きくなり、割れが深くなる のです。
机には次の“4つの力”が常にかかります。
・上からの荷重
・左右の揺れ
・前後の揺れ
・天板の反り
ビスは “点” で力を受けるため、
必ずどこかが負けます。
その結果が「割れる・歪む・グラつく」。
◎ ダボ接合
木材を“面”で支えるため、力が分散され割れません。
初心者でもダボ治具を使えばまっすぐ入ります。
◎ 幕板(まくいた)
天板の動きを抑え、脚との一体感をつくる重要パーツ。
幕板なしのDIY机は
どれだけ頑丈に見えても、必ず歪みます。
プロのようにツルツルにするのは難しいため、
あえて粗めで木肌の凹凸を残す
凹みにレジンを少し入れると光沢が出る
最後はウレタンニスで保護
この方法だと
DIYでも表情豊かで高級感のある仕上がり になります。
──“やり方”ではなく“理由”を知るとDIYは上達する
● 木材は必ず動く
→ 湿気で伸び縮みする
● 材料は正しい順番で組む必要がある
→ 壁は「合板 → 透湿シート → ボード → 仕上げ」
● 力は“点”ではなく“面”で受ける
→ 机は「ビス固定ではなくダボ接合」
● DIYは技術より“押さえどころ”が大事
→ 理屈を知れば、どんな施工にも応用できる
DIYで最も大切なのは、
見た目より“構造と材料の理解” です。
これを知っているだけで、
・壁は割れない
・机は歪まない
・材料は長持ちする
・仕上がりが格段に上がる
DIYはもっと楽しく、もっと美しくなります。