地域別で比較!中古住宅の築年数と総額・リフォーム費の目安

2025年12月01日 16:45

地域別・築年数別でわかる中古住宅の総額診断|購入価格+リフォーム費用+将来の修繕コストまで解説

「中古住宅を買うなら、築何年くらいが一番お得なのか?」「地方と首都圏では、築年数とリフォーム費用のバランスがどう違うのか?」――。 中古住宅選びで、いちばん多いご相談がこのテーマです。

このページでは、首都圏・関西・東海・地方都市といった エリア別の中古住宅価格に、 築年数ごとのリフォーム費用の目安を掛け合わせて、 「トータルでいくらかかりそうか」という 総額のイメージを分かりやすく整理しました。

また、最後には、大工歴40年・一級建築士として私が行っている 「家まっすぐ耐震工事」との関係も含めて、 買ってもよい中古・避けた方がよい中古の考え方もお伝えします。

【写真挿入ポイント:中古住宅の外観写真(首都圏の戸建てやマンションのイメージ)】

▼この記事で分かること
・首都圏・関西・東海・地方都市の中古住宅相場の違い
・築10年・20年・30年で、どのくらいリフォーム費用がかかるのか
・「物件価格+リフォーム費用」の総額シミュレーション
・大工×建築士の視点から見た「買っていい中古・危険な中古」の考え方

中古住宅の価格は「地域」と「築年数」でここまで違う

まずは、エリア別・築年数別の中古住宅価格のイメージから整理します。 ここでは、マンションは専有面積70㎡前後、 一戸建ては延床100㎡前後の物件を目安とした概算です。 実際の価格は立地や個別条件によって上下しますので、 「おおよその目安」としてご覧ください。

首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の中古マンション・中古一戸建て

首都圏は全国でもっとも価格水準が高く、 築年数が古くなっても「立地の力」で価格が下がりにくいエリアです。

■ 首都圏 中古マンション(70㎡目安)

築年数価格帯の目安コメント
築5年4,800万円前後新築時のプレミアが残り、もっとも高値ゾーン。
築10年4,300万円前後まだ高値だが、そろそろ設備更新の時期に入る。
築20年3,500万円前後価格とリフォーム費のバランスが良く、狙い目になりやすい。
築30年3,000万円前後価格は下がるが、フルリノベ前提で検討したいゾーン。

■ 首都圏 中古一戸建て(100㎡目安)

築年数価格帯の目安コメント
築5年約4,000万円土地代が高いため、建物がまだ十分高値で評価される。
築10年約3,580万円小さな修繕でそのまま住めることが多い。
築20年約3,000万円リフォームとの相性が良く、費用対効果を出しやすいゾーン。
築30年2,000万円台耐震性や構造状態のチェックが必須になる年代。

【写真挿入ポイント:首都圏のマンション外観や夜景イメージ】

関西(大阪府)・東海(愛知県)・地方都市(高知市)の価格イメージ

関西・東海・地方都市になると、首都圏と比べて土地代が下がる分、 同じ築年数でも価格帯は下がります。ただし、 「築20年前後で下がり方が大きくなる」という傾向はどのエリアでも共通です。

エリア築5年築10年築20年築30年
大阪府 マンション約4,500万円約4,300万円約3,800万円約2,800万円
大阪府 戸建て約2,326万円約2,196万円約1,935万円約1,948万円(下げ止まり)
愛知県 マンション(名駅周辺)約6,450万円約4,800万円約3,700万円約2,350万円
愛知県 戸建て(県全体)約2,850万円約2,420万円約1,780万円約1,570万円
高知市 マンション約1,060万円約1,150万円約950万円約1,020万円
高知市 戸建て約2,110万円約1,980万円約1,720万円(データ少)

このように、地域によって価格水準は大きく違いますが、 「築20年前後で価格が大きく下がる」という流れはおおむね共通しています。 ここに、次の章でお話しするリフォーム費用の目安を重ね合わせると、 「どのゾーンが一番お得か」が見えてきます。

築年数別リフォーム費用の目安|築10年・20年・30年で何が変わる?

次に、築年数ごとに「どのあたりで、どんなリフォーム費用がかかり始めるか」の目安をまとめます。 あくまで一般的な目安ですが、大きく外れることは少ないラインです。

築年数主なリフォーム内容費用の目安
〜築10年クロスの張り替え、細かな補修、ハウスクリーニングなど約10〜50万円
築10〜20年キッチン・浴室・洗面・トイレなど水回り交換、外壁・屋根塗装約150〜300万円(戸建て)/約100〜250万円(マンション)
築20〜30年内装全面リフォーム+水回り総替え+外装メンテナンス約300〜600万円
築30〜40年間取り変更、配管更新、断熱改修、場合によっては構造補強約600〜1,500万円
築40年以上大規模リノベーション、耐震補強、基礎まわりの見直し等約1,000〜2,500万円

ポイントは、築20年を超えたあたりから、表面的なリフォームだけでは済まなくなるということです。 床の下地、配管、構造の接合部など、「見えない部分」の劣化が少しずつ表に出てきます。

【写真挿入ポイント:キッチン・浴室など水回りリフォームのビフォーアフター例】

「物件価格+リフォーム費用」で見る総額シミュレーション

ここまでの「中古価格」と「リフォーム費用」を組み合わせると、 実際にどの築年数帯が総額として有利か、イメージしやすくなります。 例として、首都圏の中古一戸建て(100㎡前後)を購入するケースを見てみましょう。

築年数物件価格の目安リフォーム費用の目安総額イメージコメント
築10年約3,580万円〜100万円約3,680万円割高だが、すぐに大きな工事が要らない安心ゾーン。
築20年約3,000万円約250〜320万円約3,250〜3,320万円価格とリフォーム費のバランスが最も良い狙い目帯。
築30年約2,500万円約350〜800万円約2,850〜3,300万円物件次第で「お得にも地雷にも」なりやすい年代。
築40年以上約2,000万円約800〜2,000万円約2,800〜4,000万円良い土地なら検討の余地あり。構造・耐震の専門診断は必須。

この表から分かるように、築20年前後の中古住宅は、 物件価格がある程度下がっている一方で、 リフォーム費用もまだ「常識的な範囲」に収まりやすいゾーンです。

一方で、築30年以上の物件になると、 表面だけきれいにしても、配管や構造に問題を抱えているケースが多く、 結果的に総額が膨らんでしまうことも少なくありません。

築30年以上の中古住宅で重要になる「家まっすぐ耐震工事」という考え方

私が「家まっすぐ耐震工事」と呼んでいるのは、 中古住宅の傾きやゆがみを直し、構造を整えたうえでリフォームを行う工事です。 特に築30年・40年を超える中古住宅では、見た目よりも 土台・柱・梁・基礎の状態が住み心地と安全性を大きく左右します。

例えば、こんな症状はありませんか?

  • 床を歩くと、少しフワフワしたり、沈む感じがある
  • ドアや引き戸が自然に開く・閉まる(どちらかに勝手に動く)
  • 窓枠や建具まわりに、斜めにヒビが入っている
  • 雨漏りや結露が何度も補修されているが、根本原因が不明のまま

こうした症状の背景には、 床の下地の傷みや、構造の接合部の劣化、基礎の沈下など、 「普通のリフォーム工事では触らない部分」の問題が隠れていることが多いのです。

見た目だけをきれいにしても、家そのものがまっすぐでなければ、 せっかくのリフォームも長持ちしません。 そこで、私は大工としての構造の目線と、 一級建築士としての耐震の目線を合わせて、 「どこまで直せば、どのくらい長く安心して住めるか」を一緒に考えるお手伝いをしています。

【写真挿入ポイント:床の水平チェックや、基礎まわりを確認している現場の様子】

まとめ:築年数とリフォーム費用を「セット」で見ると、中古住宅選びはぐっと楽になる

最後に、この記事のポイントをもう一度整理します。

  • 中古住宅の価格は、地域(首都圏・関西・東海・地方)と築年数で大きく変わる
  • どのエリアでも、築20年前後で価格が一段階下がることが多い
  • 築10年まではリフォーム費は小さいが、物件価格が高く「割安感」は出にくい
  • 築20年前後は、物件価格とリフォーム費用のバランスが最も良い狙い目ゾーン
  • 築30年以上は、見た目だけで判断すると「安物買いの高リフォーム」になりやすい
  • 築30〜40年超の中古住宅は、「家まっすぐ耐震工事」のような構造診断が重要になる

中古住宅選びで失敗しないためには、 「物件価格だけ」でも「リフォーム費用だけ」でもなく総額(価格+リフォーム+将来の修繕費)で考えることが大切です。

中古住宅の「買っていい物件かどうか」をプロ目線で確認してみませんか?

大工歴40年・一級建築士が、
あなたの候補物件について「構造・耐震・リフォームの妥当性」をチェックします。

・築20〜40年の中古住宅を検討している方
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