「中古住宅を買うなら、築何年くらいが一番お得なのか?」「地方と首都圏では、築年数とリフォーム費用のバランスがどう違うのか?」――。 中古住宅選びで、いちばん多いご相談がこのテーマです。
このページでは、首都圏・関西・東海・地方都市といった エリア別の中古住宅価格に、 築年数ごとのリフォーム費用の目安を掛け合わせて、 「トータルでいくらかかりそうか」という 総額のイメージを分かりやすく整理しました。
また、最後には、大工歴40年・一級建築士として私が行っている 「家まっすぐ耐震工事」との関係も含めて、 買ってもよい中古・避けた方がよい中古の考え方もお伝えします。
【写真挿入ポイント:中古住宅の外観写真(首都圏の戸建てやマンションのイメージ)】
▼この記事で分かること
・首都圏・関西・東海・地方都市の中古住宅相場の違い
・築10年・20年・30年で、どのくらいリフォーム費用がかかるのか
・「物件価格+リフォーム費用」の総額シミュレーション
・大工×建築士の視点から見た「買っていい中古・危険な中古」の考え方
まずは、エリア別・築年数別の中古住宅価格のイメージから整理します。 ここでは、マンションは専有面積70㎡前後、 一戸建ては延床100㎡前後の物件を目安とした概算です。 実際の価格は立地や個別条件によって上下しますので、 「おおよその目安」としてご覧ください。
首都圏は全国でもっとも価格水準が高く、 築年数が古くなっても「立地の力」で価格が下がりにくいエリアです。
■ 首都圏 中古マンション(70㎡目安)
| 築年数 | 価格帯の目安 | コメント |
|---|---|---|
| 築5年 | 4,800万円前後 | 新築時のプレミアが残り、もっとも高値ゾーン。 |
| 築10年 | 4,300万円前後 | まだ高値だが、そろそろ設備更新の時期に入る。 |
| 築20年 | 3,500万円前後 | 価格とリフォーム費のバランスが良く、狙い目になりやすい。 |
| 築30年 | 3,000万円前後 | 価格は下がるが、フルリノベ前提で検討したいゾーン。 |
■ 首都圏 中古一戸建て(100㎡目安)
| 築年数 | 価格帯の目安 | コメント |
|---|---|---|
| 築5年 | 約4,000万円 | 土地代が高いため、建物がまだ十分高値で評価される。 |
| 築10年 | 約3,580万円 | 小さな修繕でそのまま住めることが多い。 |
| 築20年 | 約3,000万円 | リフォームとの相性が良く、費用対効果を出しやすいゾーン。 |
| 築30年 | 2,000万円台 | 耐震性や構造状態のチェックが必須になる年代。 |
【写真挿入ポイント:首都圏のマンション外観や夜景イメージ】
関西・東海・地方都市になると、首都圏と比べて土地代が下がる分、 同じ築年数でも価格帯は下がります。ただし、 「築20年前後で下がり方が大きくなる」という傾向はどのエリアでも共通です。
| エリア | 築5年 | 築10年 | 築20年 | 築30年 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪府 マンション | 約4,500万円 | 約4,300万円 | 約3,800万円 | 約2,800万円 |
| 大阪府 戸建て | 約2,326万円 | 約2,196万円 | 約1,935万円 | 約1,948万円(下げ止まり) |
| 愛知県 マンション(名駅周辺) | 約6,450万円 | 約4,800万円 | 約3,700万円 | 約2,350万円 |
| 愛知県 戸建て(県全体) | 約2,850万円 | 約2,420万円 | 約1,780万円 | 約1,570万円 |
| 高知市 マンション | 約1,060万円 | 約1,150万円 | 約950万円 | 約1,020万円 |
| 高知市 戸建て | 約2,110万円 | 約1,980万円 | 約1,720万円 | (データ少) |
このように、地域によって価格水準は大きく違いますが、 「築20年前後で価格が大きく下がる」という流れはおおむね共通しています。 ここに、次の章でお話しするリフォーム費用の目安を重ね合わせると、 「どのゾーンが一番お得か」が見えてきます。
次に、築年数ごとに「どのあたりで、どんなリフォーム費用がかかり始めるか」の目安をまとめます。 あくまで一般的な目安ですが、大きく外れることは少ないラインです。
| 築年数 | 主なリフォーム内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 〜築10年 | クロスの張り替え、細かな補修、ハウスクリーニングなど | 約10〜50万円 |
| 築10〜20年 | キッチン・浴室・洗面・トイレなど水回り交換、外壁・屋根塗装 | 約150〜300万円(戸建て)/約100〜250万円(マンション) |
| 築20〜30年 | 内装全面リフォーム+水回り総替え+外装メンテナンス | 約300〜600万円 |
| 築30〜40年 | 間取り変更、配管更新、断熱改修、場合によっては構造補強 | 約600〜1,500万円 |
| 築40年以上 | 大規模リノベーション、耐震補強、基礎まわりの見直し等 | 約1,000〜2,500万円 |
ポイントは、築20年を超えたあたりから、表面的なリフォームだけでは済まなくなるということです。 床の下地、配管、構造の接合部など、「見えない部分」の劣化が少しずつ表に出てきます。
【写真挿入ポイント:キッチン・浴室など水回りリフォームのビフォーアフター例】
ここまでの「中古価格」と「リフォーム費用」を組み合わせると、 実際にどの築年数帯が総額として有利か、イメージしやすくなります。 例として、首都圏の中古一戸建て(100㎡前後)を購入するケースを見てみましょう。
| 築年数 | 物件価格の目安 | リフォーム費用の目安 | 総額イメージ | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 築10年 | 約3,580万円 | 〜100万円 | 約3,680万円 | 割高だが、すぐに大きな工事が要らない安心ゾーン。 |
| 築20年 | 約3,000万円 | 約250〜320万円 | 約3,250〜3,320万円 | 価格とリフォーム費のバランスが最も良い狙い目帯。 |
| 築30年 | 約2,500万円 | 約350〜800万円 | 約2,850〜3,300万円 | 物件次第で「お得にも地雷にも」なりやすい年代。 |
| 築40年以上 | 約2,000万円 | 約800〜2,000万円 | 約2,800〜4,000万円 | 良い土地なら検討の余地あり。構造・耐震の専門診断は必須。 |
この表から分かるように、築20年前後の中古住宅は、 物件価格がある程度下がっている一方で、 リフォーム費用もまだ「常識的な範囲」に収まりやすいゾーンです。
一方で、築30年以上の物件になると、 表面だけきれいにしても、配管や構造に問題を抱えているケースが多く、 結果的に総額が膨らんでしまうことも少なくありません。
私が「家まっすぐ耐震工事」と呼んでいるのは、 中古住宅の傾きやゆがみを直し、構造を整えたうえでリフォームを行う工事です。 特に築30年・40年を超える中古住宅では、見た目よりも 土台・柱・梁・基礎の状態が住み心地と安全性を大きく左右します。
例えば、こんな症状はありませんか?
こうした症状の背景には、 床の下地の傷みや、構造の接合部の劣化、基礎の沈下など、 「普通のリフォーム工事では触らない部分」の問題が隠れていることが多いのです。
見た目だけをきれいにしても、家そのものがまっすぐでなければ、 せっかくのリフォームも長持ちしません。 そこで、私は大工としての構造の目線と、 一級建築士としての耐震の目線を合わせて、 「どこまで直せば、どのくらい長く安心して住めるか」を一緒に考えるお手伝いをしています。
【写真挿入ポイント:床の水平チェックや、基礎まわりを確認している現場の様子】
最後に、この記事のポイントをもう一度整理します。
中古住宅選びで失敗しないためには、 「物件価格だけ」でも「リフォーム費用だけ」でもなく、 総額(価格+リフォーム+将来の修繕費)で考えることが大切です。
中古住宅の「買っていい物件かどうか」をプロ目線で確認してみませんか?
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・築20〜40年の中古住宅を検討している方
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