家づくりを考え始めたとき、「間取りを自分で描いてみたい」と思う方は多いものです。最近では「マイホームデザイナー 無料」という検索ワードが急上昇しています。
しかし実際に使ってみると、
「操作が難しい」「思ったように動かない」「壁がズレる」など、すぐに限界を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、一級建築士の立場から「無料版の実力と限界」を本音で解説します。
どこまで使えるのか、そしてどんな活用法なら失敗しないのかをわかりやすくまとめました。
マイホームデザイナーの無料版では、基本的な間取り作成は可能です。
できること:
・部屋の配置や広さの設定
・ドア・窓・家具の設置
・3Dパースの簡易表示
初期の打ち合わせや家族のイメージ共有には便利です。
できないこと:
・データ保存の制限
・パース品質の低さ
・構造や法規の反映不可
・耐震性や採光計算の非対応
つまり「遊び感覚で試す」には向いていますが、「建てる計画」には不十分です。
無料ソフトで描いた間取りは、あくまで“参考イメージ”と考えるのが安全です。
これまで多くの施主さんが無料ソフトで描いた図面を見てきましたが、共通して次のようなミスが見られます。
・壁厚を無視して寸法が合わない
・窓・換気・構造の考慮不足
・外構や駐車スペースが破綻
結果として「建てられない図面」になっているケースも珍しくありません。
① 自分でざっくり描く:
家族と配置や広さのイメージを共有する段階で活用。
② プロに現実化してもらう:
無料ソフトで描いた間取りをもとに、建築士に構造・法規・動線を整えてもらう。
③ 3Dパースで体感:
プロが作るパースは照明・奥行き・質感がリアル。
無料ソフトでは表現できない「暮らしの温度感」が見えてきます。
無料ソフトはあくまで“シミュレーション”。
構造計算や耐震設計が反映されないため、現実的な図面とは言えません。
「自分で描いた間取りを業者に渡したら断られた」──実際にこうした相談も多く寄せられています。
無料ソフトで作った間取りを一度、専門家の目で確認してもらいましょう。
これらを早い段階でチェックすれば、後戻りを防ぎ、理想の家づくりに近づけます。
無料のマイホームデザイナーは、家づくりの入口として非常に有効です。
ただし「無料=現実的な設計」ではありません。
夢を形にする最初の一歩として使い、次の段階ではプロに引き継ぐ。
それが後悔のない家づくりのコツです。
あなたが描いた「無料間取り」を、
建てられる形に整えるお手伝いをします。