空き家や遊休不動産を持っている所有者の方にとって、もっとも悩ましいのは「どう活用すべきか」という判断です。
単純に貸す、あるいは売るという方法もありますが、それだけでは思ったような収益が得られなかったり、後悔の残る
取引になったりすることも少なくありません。
いま注目されているのが、訪日外国人旅行者の増加を背景にした 宿泊施設への転用 です。ここで重要になるのが「感覚で
はなくデータに基づく判断」。データを押さえることで、物件の可能性をより正確に見極めることができます。
観光庁などの統計によれば、訪日外国人旅行者の 1人あたり旅行支出は平均22〜23万円。
そのうち 宿泊費は全体の約30%、およそ6万円 に相当します。
さらに、1組あたりの平均人数は 2〜4人。家族や友人同士の小グループが中心です。
つまり、長期連泊や団体ツアーに頼らなくても、短・中期滞在をベースに収益を上げるモデルが十分に成り立つというこ
とです。
データを踏まえると、次のような経営判断が浮かび上がります。
・長期滞在依存はリスクが高い
欧米圏からの旅行者は長期滞在が多い一方で、アジア圏からは短期滞在が主流。すべてを長期客に依存するのは収益が
不安定になります。
・収容人数を増やすだけでは効率が悪い
単純に寝室を並べるだけでは差別化できず、稼働率も安定しにくい。
・日本特有の空間価値が差別化の鍵
短期でも「泊まってよかった」と思わせるためには、畳コーナー、縁側、ちゃぶ台など、日本的なくつろぎ要素が強い
武器になります
不動産投資家やデベロッパーが注目するのも、まさにこの数字です。
・宿泊費6万円という平均値は、物件の収益モデルを組む際の基準データになります。
・2〜4人グループを想定した部屋割りは、投資効率=利回りの最大化に直結します。
・短・中期滞在中心という傾向は、長期賃貸より回転効率の高い活用法として位置づけられます。
つまり、所有者自身の判断だけでなく、物件を投資目的で活用しようとする買い手や営業担当者にとっても、このデータ
は強力な武器になるのです。
都心の小規模ビルやマンション
・アクセス重視の短期滞在向けに最適
・限られたスペースでも「和の要素」を加えれば差別化可能
地方の古民家や戸建て
・滞在日数が比較的長く、地域体験と組み合わせやすい
・古材や畳を活かした改修でコストを抑えながら独自性を高められる
相続した遊休不動産
・そのまま空き家にしておくより、宿泊施設として再活用する方が収益化の可能性が高い
・DIY改修や小規模投資でも十分に需要を取り込めるケースがある
活用を進める際に必ず壁になるのが、用途変更や確認申請といった手続きです。
「やってみたいけど複雑そう」「投資回収できるか不安」という声は多く聞かれます。
私自身、大工歴40年・一級建築士歴30年の経験を活かし、これまでに1000棟以上の住宅・施設を手掛けてきました。
所有者や投資家の方が「データに基づく経営判断」を下せるよう、次のようなサポートを行っています。
・用途変更資料図面作成:30,000円〜
・許容応力度計算付き確認申請図書:100,000円〜
・省エネ計算:50,000円〜
これらを揃えることで、所有者自身の判断材料になるだけでなく、不動産業者の営業資料としても活用可能です。
所有物件をどうするかは、感覚や勢いだけで決めてはいけません。
訪日客の支出データや滞在傾向という客観的な数字を踏まえることで、投資判断にも説得力が生まれます。
「売るか、貸すか、活用するか」で迷っている所有者の方こそ、まずはデータに基づく可能性を検討してください。